このページは、会計学・経営分析論の論文を
とうとう、ものに出来なかった不肖の弟子「パパサン」を
いつも暖かく見守って下さる元明治大学教授・山口孝先生に捧げます。
先生は、1998年3月明治大学を、めでたく定年退官されました。
先生は在職中、経営分析論の知識と研究成果を、学生達に指導するだけでなく、不当な処遇を受けた勤労者が、大企業と戦うための有用な武器として提供されました。
先生は著書『会計学講義案』の序文で、次のように述べておられます。
「会計学はその生い立ちや成立の過程から崇高なものだと言われるが、
人類の幸福のために役立つとき、その学問は真に崇高と言える。」
1.序 文
2.売買の意味
3.商品としての不動産
4.物件の調査
5.買う意志との出会い
6.資金繰りと申し込み
7.契約の締結
8.決済と引き渡し
9.結びに代えて
「家を持ちたい」と誰もが思います。
「だけど、判らないことばかり・・・」と誰も言います。
不動産は、最も高価な買い物です。
不動産は一世一代の買い物です。
でも、不動産業者は、「三百代言」とか「千三屋」と呼ばれてきました。
どちらも、“口先だけの嘘つき”てな意味です。
現在は、法令の整備・官庁の指導・先輩方の努力のおかげで
『宅地建物取引業』という実業の分野として、認知されるようになりました。
とは言え、不動産(業)に対する不安・不信は根強いものです。
そこで、不動産取引とはどんなものか、まとめました。
皆さんの参考になれば幸いです。
「売買」とは、“売るもの(商品)”があって、
それを“売る人”と“買う人”がいることです。
売買は商行為ですから、商法や、広くは民法の規制を受けています。
私たちは、日常、この商行為を行っています。
スーパーやコンビニで買い物をするのは、商行為です。
ただ、不動産は高価で法律が複雑に絡んでいます。
そこで、消費者を保護する目的で『宅地建物取引業法』を定め、
不動産を業とする者に、沢山の規制をしています。
不動産の売買、つまり不動産取引では、
“売るもの”を『売買物件』
“売る人”を『売主』
“買う人”を『買主』と言います。
また、“売主と買主を結びつける仕事”を
『媒介(または仲介)業務』と言います。
不動産業者以外の人が土地や建物を持っていても、
それだけでは、その不動産は商品ではありません。
子供の成長とか、転勤とか、もっと良いものが欲しいとかの理由で、
“売る意志”が生じたとき、不動産は商品になります。
売主は不動産業者と「売りの媒介契約」を結びます。
不動産業者がもともと売却を目的として、所有する不動産は
言うまでもなく商品です。
当然、不動産業者は、不動産の売買を継続して行えます。
しかし、それ以外の人は、継続して不動産の売買を出来ません。
それをするには、宅地建物取引業免許が必要です。
売主から依頼を受けた、不動産業者は、
その不動産物件の調査を行います。
1.売主と所有者は同一人か
2.物件に占有者はいるのか
3.権利書は保管されているか
4.物件の法的規制はどうか
5.上下水道やガスは使えるか
6.土地の境界や道路はきちんとしているか
7.建物がある場合、不具合はないか などなど
商品となった不動産は、不動産業者が色々な調査をしてから、
流通機構・情報誌・チラシなどの広告を使って、商品を公開し
“買う意志”つまり、買主との出会いを待ちます。
買主は、市場に出回る不動産物件の情報を収集、比較分析して、
「これは!」と思う広告を出している不動産業者に連絡をします。
不動産業者は、買主に物件の説明をして、現地に案内します。
買主は、現地で専門家としての不動産業者によく説明を受けることです。
また、売主がまだ住んでいる場合、
買主が勝手に周りで調査するのは非常識です。
買主が安くて良いものを求めるのは当然の心理です。
しかし、安くて良いものが滅多にないのも当然です。
安いものには、安いなりの理由が、
高いものには、高いなりの理由があるのです。
これを相場価格と言って、商品は売主と買主双方の納得する相場で売買されるのです。
物件が気に入れば、買主は資金繰りをして、
本当にその物件が買えるかどうか試算します。
物件価格と付随する費用の合計(使途)が
自己資金と借入金の合計(調達)と一致しなくてはなりません。
付随する諸費用はなるべく、こまごまと正確に見積もります。
1.登記費用
2.印紙税・固定資産税・不動産取得税・贈与税
3.借入にかかる費用
4.保険料
5.仲介手数料
6.引っ越しや新しい家具 などです。
自己資金は
1.現預金
2.株などの有価証券
3.近親者からの贈与 などです。
借入金は
1.住宅金融公庫
2.年金融資
3.財形貯蓄融資
4.銀行ローン などです。
特に借入金は、買主が、いくらまでなら借りられて、
また、それを無理なく返せるのか、事前に十分な検討が必要です。
資金繰りが出来たら、『買いの申し込み』をします。
この時、出来れば値引きの交渉をします。
よく、資金繰りが出来ていないのに
「この物件は、値引きできますか。」と言う人がいます。
買えるか買えないか判らないのに、値引きの話をするものではありません。
また、直接、当事者同士が値引きの交渉をするのは、
なにかと角が立つものす。
取引は、結局、人と人との出会いですから、
相手の立場に立てば、すぐに判ることです。
売主は少しでも高く売りたいし、買主はその逆です。
売主には、物件に特別の思い入れや愛着があるのが常です。
「いくらお金を積まれても、あの人には売りたくない」てなこともままあります。
上手に、不動産業者を利用しましょう。
資金繰りが出来て、売買価格が決定すれば、いよいよ契約です。
契約書には、
1.売買物件の表示
2.売買価格と支払方法
3.契約違反があった場合の処置
などがこまごまと定められています。
いったん、契約を締結すると、売主・買主双方ともその条項を守らなければなりません。
契約はお互い、平等のものです。
通常、この時、買主は売主に1〜2割の手付金を支払います。
契約に先立ち、不動産業者は“宅地建物取引主任者”という有資格者に
買主に対して、重要事項説明をさせなければなりません。
不動産業者が物件について調査したことがらを
『重要事項説明書』と言う法定の書式に従って、
買主に説明する義務があるのです。
これを省略したり、有資格者がいなかったり、
説明した内容に事実と重大な違いがあると
不動産業者は罰せられ、契約は無効になります。
契約が締結されると、
買主は借入の申し込みをして、資金を確保します。
売主は、引き渡しまでの物件の管理に注意し、退去します。
引き渡しまでに、売主・買主双方は現地で立ち会って、
契約書の条項に基づく、売買物件の確認を行います。
当然、、仲介業者も同行します。
全ての準備が整って、いよいよ引き渡しとなります。
買主は残代金を支払い、
売主は物件を引き渡し、所有権移転登記の手続きを申請します。
くり返しますが、不動産は複雑な法律の固まりですから、
いろいろな手続きがあって、それぞれの専門家が代行します。
1.物件の調査・説明は不動産業者
2.借入に関することは銀行の担当者
3.登記のことは司法書士
4.土地の境界の確定は土地家屋調査士 などなどです。
決済には多額の金額が移動するので、借入を申し込んだ銀行で行うのが通例です。
権利書は、この後、10日前後で新しい所有者に届きます。
不動産売買契約書の最後の条項は、多少の違いはあれ
ほとんどが、以下の様な条文で締めくくられています。
「本契約に定めない事項、または解釈上疑義を生じた事項は、
関係諸法令、不動産取引上の慣行に従い、
売主・買主が誠意をもって協議の上、解決する。」
[ご注意:このページの無断転載を禁じます]